約 912,650 件
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/576.html
風がそよぎ、夕涼みに丁度いい空気が道場に流れ込む。 稽古と掃除が終わり、帰路に就くまでのそんなまどろみの時間。 たっぷりとその心地好さを楽しんだキリノとサヤがそろそろ帰ろうか、とすると、興味深いやり取りが耳に届く。 「ユージくん、じゃあ…」 「うん、行こーか、タマちゃん」 別に普段通りのやり取りには聞こえるのだが、 「帰る」ではなく「行く」と言うのが、何か引っ掛かる。 加えていつもと少しだけ違う(主にタマの方の)その雰囲気。 おせっかいな老婆心だとわかっていながら、念を押してあげずにはいられない。 「おりょ、お二人さんこれからデートかい?」 「…いいねえいいねえ、秘密の下校デートってやつ?青春だねえ」 「いえ、違いますよ。タマちゃんがDVD借りに行くんで、俺も行こうかと」 その質問という形のやっかみであり、後押しに。 ユージがさすが、とも言うべき速さで即答すると、 隣に居るタマには悪いと思いつつも、失笑を漏らすキリノとサヤ。 「あっはっはー、そっかそっかあ」 「いやいや、さすがはユージくんだ」 先輩二人の笑いの意味が分からずただぽかんとする二人に、 不意に息を飲み込んだキリノがんっ、そう言えば、という顔をみせ自分のカバンを漁ると―――ある。 「……ねえ、もしおジャマじゃなければあたしも一緒に行っていいかな?」 「ええ、全然構いませんけど。ねえタマちゃん?」 「うん」 自分にも、先週借りたビデオを返す予定があったのを忘れる所だった。 街中にあるビデオ屋には、家からより学校からの方が近い。そう思って持って来た筈なのに。 キリノがそう言うと、サヤは残念そうに 「んー、あたしも行きたいとこなんだけどねえ…」 と漏らすと、家の用事があるからパス、と言い残して先に帰ってしまった。 かくて未だ道場に残るキリノユージタマの3人に、窓の戸締りを終えたコジローから追い出しの声がかかる。 「おい、お前らまだ居たのかよ?入口締めるからもう出ろよー」 『はーい』 先生の声に追い立てられるように外に出ると、自転車置場へ。 その向かう途中に、ふと胸に沸いた疑問をひとつ。 「…でも、タマちゃんでもレンタル屋さんで借りる事ってあるんだねえ。てっきり買っちゃうのかと」 「普段はそうなんですけど、販売版とレンタル版との違いをチェックしようかと…」 「あはは、あは、そっかあ」 その言葉を聞き、ややもすれば呆れ気味の自分の反応と… ”保護者”ユージのそれを照らし合わせてみると。 彼の目には些かのタマに対する倦厭も侮蔑もなく、 ただにそのような手に負えなさも含めて彼女なのだと、そういう気持ちがありありと表れている。 ……やがて、1年生の置場が近付き、二人と離れると。ぽつり。 ――――ちょっとだけ取り消し…やっぱ、エラいわ。ユージくん。 思う。いや、しかしそれだけでは少し足りないところがある。 ――――それとも…あの子に付き合わされてれば……そりゃ、ああいう子にもなるのかね。 と、キリノがひとまずは結論付け、西陽に十分暖められたサドルに跨ると… 二人が待つ校門までは、ほんの僅かな時間であった。 ▽▽▽ せーの、でぐいっと大きなガラス戸を押すと、チャイムの音が鳴り、 同時に冷房の効いた店内のひんやりした空気が流れ出す―――― レンタルビデオ屋”メテオン”。 あまり大きなお店ではないが、街中にあり便がよいので割といつも繁盛している。 品揃えは、中の上と言ったところ。週末には100円レンタルデーが実施され、その時期はいつも込み合う人気店である。 ……ともかくも。 「んじゃっ、あたしビデオ返して来るから。ごゆっくりねーお二人さん」 と言い、まずキリノがその場を離れると、 楽しげに談笑しながらアニメのコーナーへ向かう二人。 ―――やっぱり、お邪魔だったかな。 その背を遠目に見遣りながら、ふとそう思っていると。 軽くタマの方に熱が入ったらしく、ジェスチャーを加えながら何かを楽しげに解説している。 それをいかにも楽しげに聞いているユージ。いや、おそらく話の内容は殆ど分かっていないのだろうが… 肝心なのは”嬉しそうに何事かを話す女の子を楽しげに見ている男の子”という、その距離感。 ―――…いいなあ。 向こうにも、それはまあ、色々な問題があるには違いない。 サヤと一緒になって笑ってしまった部分にしても、勿論そう。 しかし……いや、むしろ、だからこそ。 精神的な事はともかくとするにせよ、物理的にはいつも近くにいられるあの二人を… 自分の身を置く環境と比べてみればやはり、”羨ましい”と思うのも、キリノには無理ならぬ事ではあった。 「……で、ここに来てしまうと。あちゃー…」 自分も、よほど単純だ。 返却口にビデオを押し込み、軽く自嘲しつつキリノが立つ場所は、先日の… 変なカップルが主演の、変なオムニバスの、変なシリーズもののコーナー。 自己嫌悪にうんざりしながら手近なのをひとつ、手に取ってみると。 相変わらず、箱の裏にはぎっしりと小さい文字でストーリーが網羅されている。 "だらしねー旦那としっかり者の奥さん" それは小さな小さな恋のお話。 まだ片想いだった頃の女の子が、 彼のからかうような言動に振り回されながら 改めて自分の気持ちを確認していくお話。 「ふ~む…あたしも…」 これくらいちゃんと女の子女の子出来れば、何か違うのかな。 恥じらうよりも気安さ、切なさよりも楽しさの方が遥かに勝る今の関係においては… そこに居心地の良さは覚えるものの、やはり普通の、こう――――ドキドキするような感じ。 それについては薄い、と感じざるを得ない。……満足は、しているのだけど。 続けてもう一本、その隣にあるものも。 "おやすみ、先生" 眠りこける割合歳のいった王子様が、 お姫様のキスで目を覚ますお話…ではないけど。 こちらは幾らかサバサバとした性格をしている女の子が そのエキセントリックな行動で周囲に奇妙な誤解を広める、と言うお話らしい。 「確かに、近くには…いられるんだよねぇ」 普段の自分の日常を、他人の目から客観的に見て… 自分と先生もこれくらい近くに居るようにも見えるのだろうな、とは何となく思う。 しかし現実はどうなのだろう。傍に居る時も、そうでない時でも。 ”信頼”はある―――おそらくそれは自分に対してだけの特別な物だと、そう感じてもいい程のものが。 でも、それ以上となると……覚束無いのが現状、という気がする。 ―――なんだか。詰まる所、欲求不満なのかいあたしは? 案外その程度の事が、包み隠さざる本音なのかも知れない。 急になんだか可笑しくなり、くすくすと笑みを零しながら次のを物色する… すると次に手に触れたのは、決着編と脇に銘打たれたタイトル。 どうやら完全な続きものらしいが、構わず裏を覗くと。 "スキル”強運”" それは少し、欲張りなお話。 前作から続く賭けを終えた主人公と女の子が、 実はその賭けに勝ち負けなど、初めから無かった事に気付き… そして最後には、お互いに一番望む物を手に入れる事が出来た、二人のお語。 「……何でも、行動に移さなきゃ始まらない、か…」 それは他にも数多ある「成功例」を見てもつくづく思う。 もちろんそうするにも、問題は山積されているのだけど。 立場の事とか、断られた場合の事とか。……でも。 ―――そんな事、先に考えてるのって、結局、臆病なんだろうなあ… 急になにか少し居た堪れなくなり、箱を置いて去ろうとするが、塞翁が馬。 もう一組の、ややこしい問題を抱えたカップルがそこにいる。 「キリノ先輩?どうしたんすか顔色悪いですけど」 「……ッ!?あ、あれ?お二人さんどーしたの?」 「アニメ、探してたのがすぐ見つかりましたから……あ、剣道」 隣のコーナーからタマが目敏く手にした箱には、 こうタイトルが振られている――――"ヒューマニストとエゴイスト" キリノがまさか、と思いつつタマの手ごしに箱の裏面を覗き込むと……やはり。 夥しい文字を読み下していく二人の雰囲気が見る見る間に変化するのを、表情ではなく空気から感じ取る。 「……なんだか変なお話だね」 「…うん」 タマの手が一旦ケースを翻すと、正面のジャケットが見える。 その俳優の様子はやはり、キリノの目から見ても―――遜色なく、眼前にいる二人そのもの。 後ろにいるキリノのオロオロをよそに、何やらピリピリの雰囲気を残したまま話を続ける二人。 「…でも、俺だったら流石にここまでは気は回らない、と思うんだけど」 「……そんなことないよ」 簡単なやり取りではあるが…そこから察する事ができるには。 どうやら、どちらかと言うとユージよりもタマの方が 作品に自分たちを重ねて見ている傾向は強いらしい。 キリノは、その様子を一通り窺うと。 ―――まあ、そりゃそうだよね。 思う。タマの気持ちは、おそらくは自分の気持ちとおんなじだと。 しかも自分とは違い、対象となる相手と一緒に見ているのだから… これはもう、針の筵だと言ってもいいかも知れない。 そして実際にそんな戸惑いを覗かせつつ、次にタマが手に取ったタイトルは… "初恋アンリミテッド" ライバルの出現により大きく変わっていく人間関係。 そこに戸惑いを覚えながらも、周囲の協力により、 正しい答えを掴み取って行く小さなヒロインの物語。 ―――あ、あたしも出てるんだ。 後ろでキリノが覗き込みながら軽く一人ごちていると、 今度はタマの方が先に感想を述べる。 「……こんなに…」 「ん、どうしたのタマちゃん?」 「…なんでもないよ」 ユージには理解できず、 端で見ているだけのキリノには良く分かる、その言葉の続き。 ―――素直になれない、よね、タマちゃん? やはり、自分と重ねて考えた場合に。 自分もタマも、世間一般にイメージする所の「素直さ」がない、わけではないと思う。 ……では何故、こんなにも「このこと」に対してその素直さは発揮されないのだろうか? それはきっと、そのビデオのタイトルが示す通りの―――”初恋”なのだからではないだろうか。 ―――そういう意味では、もしかすると自分の方がむしろタマちゃんよりも後輩なのかも? 何か、そのギャップに可笑しさを感じたキリノがにへら、とひとつ笑いを浮かべていると、 次にタマが手に取ったビデオは――――"「変わっていくもの」と「変わらないもの」" それは叙情的に、しかし色鮮やかに綴られる、”数年後”の出来事。 大人になった二人が、尊い日々を通じ、満を持して結ばれる…お話。 「…タマちゃん」 「……ひへっ、な、なに?ユージくん」 「大丈夫?ボーっとしてたけど」 「う、うん。平気だよ…」 そのやり取りを後ろで眺めながら、うんうんと頷くキリノ。 おそらくタマは今、先週、「数年後」を見た時の自分と――― 同じような感覚を味わっているに違いない。 宙に浮くような、でもどこかで違うような、不思議な感覚。 ―――ふふっ、そこはあたしは、一週間前に通過しているっ! 何を張り合おうとしているのかは自分でも良く分からないが、 とにかく得意気な顔をぶら下げたキリノがエッヘン、と反り返ると、 背中が後ろを行く人に当たる。 「あっ、すいませ…」 「…おい」 その低い、聞き覚えのある声が、三人をまとめてぎょっとさせる。 「せ、せんせー…?」 「お前らな、下校中に堂々と制服で寄り道すんなよ…」 『……スイマセン』 物色しながら屈み込んでいたのを慌てて立ち上がり、 微妙な緊張感を漂わせるユージとタマ……に、キリノ。 しかしコジローはぬっ、とキリノの方に手を伸ばすと。 身構えるキリノをよそに、後ろの棚からひとつ、ビデオを手にヒョイと持ち上げる。 「おっとと、あったあった」 「そ、それ…借りるんすかセンセー?」 「ん、んん…なんかマジマジ見られると恥ずかしいんだが…借りるよ、どした?」 コジローが手にしたそれは――― やはりキリノが見ていたシリーズと同じ物。 何となく事情を察したユージとタマを含め、 三人が三人、そのタイトルと解説文に注目しようとするが… そのコジローの手は照れ臭いのか、すぐに後ろ手に回してしまう。 「なっ、なんなんだよお前等、その熱視線は…俺が借りちゃマズいのか?」 「い、いえいえっ、センセーがそんなの借りるなんて、変なの、って思っちゃって」 キリノの微妙な疑問に、また照れ臭そうに頬をぽりぽりと掻くと。 「いや、これ…けっこう好きでさ。お話も面白いし。よく見てるんだ」 「……けっこう、好き…そうっすか。いや、ええと、んんん…」 そう言うなり、困惑のキリノがなかなか言葉を紡げずにいると。 少し訝しがりながらも、その様子が可哀想に思えてか、後ろの二人に話をふるコジロー。 「…そういやタマ、ありがとーな。面白かったよ、嵐の山の…何だっけ」 「……鉄巨人、です先生」 「おう、そーだそーだ。それそれ」 「…どこが良かったですか?」 「ん、あぁ、えーっと…」 うっかり発した、それが最後か。 曖昧な見方のコジローに、たちまちその場で開講されるタマの猛・講義。 キリノはとりあえず助かった、と胸を撫で下ろすものの… もちろんその講義は他の2人をも巻き込み、ヒートアップ。 ――――気が付けば、時間は19時を回っている。 それにどうにか気付いたタマがどうにかその勢いを鎮め、 「あ…ごめんなさい、つい…」 『い、いいんだよ……?』 辛うじて受講生三人がそう、ひねり出すと。 時計をちら、と見やり、さしものユージも疲れきった様子で、 「じゃ、じゃあタマちゃん、借りる物も借りられたし、帰ろうか…?」 と持ちかけると、その倍以上も憔悴したコジローとキリノも深くそれに賛同する。 そうしてタマの方も少し渋りながら頷くと、さよなら先生と部長、と言い残し、去っていく二人。 それに対して、気をつけて、という言葉がハモったかと思うと… 復活してきた少しの気まずさを含みつつ、目線を合わせないでそこに立つ、もう二人。 「…で、お前は帰らないの、キリノ?」 「いえ…なんとなく…」 自分が帰るに帰られない理由はもちろん、わかっている。 先生が棚から抜き取ったあのタイトル。 ―――あれは結局、何だったんだろう? 見てみた所で、別にどうなると言うわけでもない。 しかし、直接聞く事は出来ずとも……気にせずにはいられない。 すると―――こつん。キリノの額に軽く当てられる、ビデオケースの角。 「面アリ、ってか?」 「えっ…え?」 そのまま狼狽するキリノの手に、笑顔と共に、渡される箱。 「お前の考えてる事くらい、分かるっての……ほら」 「これ……」 「あいつらの前じゃ、流石に恥ずかしいだろ?……まだこんなに、カッコよくはいかないけどさ」 そこに記された、そのタイトルは――――― "言葉なしでも伝わるモノ"
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/642.html
634 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/08(金) 14 11 21 ID BD8qyFcb 「石田先生、今度は何のゲームですか?」 「ちょっ、覗き込まないでくださいよ!」 「んー?あらまあ、懐かしいですねえ」 「…知ってるんすか…つか、やった事あるんすか?」 「知ってますよお、PCエンジンの、発売日に買いましたもの」 「スーファミで少しやってたんですけど…こんなゲームでしたっけ、これって?」 「へえ、PFP版は主人公が先生になったんですね。元ネタの卒○に近くなったのかしら」 「まあ、そりゃいいんすけど、なんかねえ…」 『コジロー先生、来週の練習試合の事なんだけど…』 「あらら、千葉さん。私お邪魔ですね、じゃっ、また」 「いや別に邪魔とかってわけじゃ」 「んー何の話すか?…おりょ、センセー職員室でゲームはよくないっすよー」 「うるせーな、見るなよ」 「あれ…これ、もしかして…なんかえっちぃゲームですか?センセ~もぉ~」 「ちげーよ!!昔流行ってたんだよ!…しかし、そのリメイクのはず、なんだがなあ?」 「何か問題あるんすか?」 「いや…なんかな、何度やっても同じ子のエンディングにしかいけないみたいなんだ。ホラこれ」 「剣道部の部長さんっすか…」 「いくら主人公が顧問やってるからって、なあ…」 「他にも可愛い子こんなに一杯いるのにねえ」 「壊れてんだよ、たぶんな」 「ふぅん……へぇー…」 「………なんでそんなニヤニヤしてんのお前」 某スレを見ててふと。何のゲームかは想像におまかせ。 526のフレーズに妙に惹かれたのもあるw 635 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/08(金) 14 49 07 ID A9sI0S50 上上下下左右左右BA? 637 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/08(金) 15 43 22 ID xHnf0V82 好感度999は固有値なので何度爆弾を爆発させても変動しません 638 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/08(金) 16 14 39 ID yCwOemlZ 「卒業式に伝説の剣道場の入り口で告白すると幸せになれるらしいっすよ」 「伝説も何も剣道場はここ一個しかねえじゃねえか!」 「…で、返事はどうなんでしょう?」 「拒否権ないんだろ?」 「うん」
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/703.html
-”なあキリノ、チョコくれよー” -なんすかセンセー、そんなに一杯恵んで貰ってるのに。 -俺の食生活のひもじさは知ってんだろ…?今はただ補充できるカロリーが1個でも欲しい、それだけなんだ! -力説されても、ねえ…んじゃ、ハイ。余り物でよければ。 -おおっ!サンキュー!助かる! -はいはい… (………あ。) 家に帰るなり、鞄の中からぽろり、とこぼれた包み。 きれいにデコレートされ、中身も十分に手の込んだ作りのソレは、本来…今日渡す筈だったモノ。 (しまったなあ… なんか、本当に余り物の方だけあげちゃった…) せびられれば、仕方ない。 勿体つけるつもりで取っておいた気持ちがアダになる。 しかし、鞄の中で少し擦れ、包装の角が少しほつれた箱を見て、思う。 (これなら、まあ…) 自嘲の笑み。 傷んだ物なら、あげてもしょうがない、という、諦念。 それら全てが「しょうがないか」という言葉に乗せて吐き出されると。 (それにまあ、いつでも会えるし、ねえ…?何なら) 「来年でもいっか、あはは」 すこし乾燥した笑い声が部屋に軋む。 ――――――”来年の今日”が、本当に来るのなら。どれだけよかっただろう。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 「なあ千葉、今年はチョコ…」 自分の席に座るキリノに、そう言って話し掛けようとする男子を、 左右の席に座る短髪と長髪の女子がぎろり、獰猛な目付きで威嚇する。 それに怯み、言い掛けた言葉を飲み干すと、すごすご引き退がる男子。 そうそれは、「あの出来事」の直ぐあと、剣道部員と新顧問の吉河先生、 そしてキリノの親しい友達数人との間で交わされた―――盟約、とも言うべきもの。 ”今年のバレンタインデーは、取り止めになりました” もちろん、本日のバレンタインに限った話ではない。 文化祭、体育祭、クリスマス、お正月… 彼女らは折ある度に訪れるそのようなイベントという名の雷雨からキリノを守る傘となり、 またある時は盾となって一つの目的の為に腐心してきた―――― すべては彼女が、”彼”のことを思い出さぬように。 少なくとも………その喪失の傷痕が癒えるまでは。 「ミヤミヤ、ダンくん。イチャつくならキリノの見てない所で」 「ユージくん、ヒーローショーにタマちゃんを誘う時は登下校の時に」 「さとりん…は、何もしなくていいわ。怪我しないようにね」 主にサヤの行う陣頭指揮の下、次々と制定されて来たそのようなご法度の数々。 それに付き合う人の数の多さは、そのまま普段のキリノの人柄の良さを表し… 何より校内における”あの二人”の理解者の多さを雄弁に物語っていた。 (そうだよ。だから…) (早く帰って来なさいよね…石田先生) 男子が去ったあと、二人が顔を見合わせて頷きあっていると。 それを訝しげに覗き込みながら、キリノ。 「あー、あの、いいかな?」 なになに、と同時に聞き返す二人に、続ける。 「これ…友チョコなんだけど…」 机からがさごそと二つの包みを差し出すキリノに、二人の反応は鈍い。 「チョコ、って…あんた…」 「別に、無理しなくてもいいのよ…?」 二人の気遣いにやや確信的にふるふる、と顔を横に振ると。 「ほんめーのチョコはね、置いてきちゃった」 ”本命”。ただそれだけの言葉に慄く二人を尻目に、続ける。 「…今まで、守ってくれてありがとう」 「あたしもう、大丈夫だから」 「何があっても…一生会えなくても。ずっと待ってるって、決めたから」 その言葉を聞き、思う――――それはそれで、だが。 しかし自分たちが、この子の為によかれと思ってやって来た事は、結果的に… むしろ彼女に、そのような悲愴な決意をさせるまでに―――追い込んでしまったのではないか。 疑念に駆られ、居ても立ても居られずに、迫るような形相で問い掛ける。 「「……いいの?」」 「いいの」 二人の、そのような不安を一蹴するかのように、キリノは強く微笑んでみせた。 それを見るや否や、キリノにすがりつく親友二人。 「キリノ~!」 「アンタ、ほんっとにいい子だわ~!」 抱き付かれ、二人に揉みくちゃにされ笑い合いながら、キリノは思う。 (それになんだか…もうすぐ会えるような気がするから) 根拠はどこにも、何もない。ただの思い込みに過ぎない。 ただ、不思議とこういう時の自分の直感が外れた事がないのをキリノは自覚していた。 そして時はまた、巡る―――― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 「…さて、と。なあキリノ、チョ…」 「はいはいっ!」 求める手よりも先に、差し出される大きな包み。 今までのものとは違う、恋人としての確信と愛情が詰まりに詰まったそれは疑いようも無い、本命チョコ。 剣道部の練習が終わり、キリノは受験の直前補習を終え、再び二年前と同じように二人きりになった道場は、 しかし当時とは全く打って変わった桃色の空気を充満させる。 あの再会から、永く――――10ヶ月もの時間を経、キリノの卒業を間近にまで控えて、 ようやく不器用ながらも想いを通じ合わせる事が出来た二人がそこにはいた。 大いに照れながら包みを受け取るコジロー。 「あ、アリガトーな…」 「いえいえこちらこそ…」 「開けてみてもいい?」 「ど、どうぞ」 しゅるり、と梱包のリボンを解くと、真白な箱が顕になり、箱の中には… 苺でコーティングされたピンク色の大きなハートと、その下でクロスしているふたつの竹刀。 (こりゃあ…目のやり場に、困るな) その、女の子らしい、いや余りにもキリノらしい装丁に…直視する事が出来ない。 かと言ってここで彼女の方を見るのも、何かいやらしい。 結果コジローがどうする事も出来ずに居ると、キリノの方から助け舟が出る。 「もー、なに照れちゃって固まってるんすかあ」 「いや、でもなぁ…ホントに食べてもいいのかこれ?」 「食べちゃって下さい……先生に食べて貰う為に作ったんだから」 そう言ったまま、顔を赤くして俯いてしまったキリノを見ると、こちらの気恥ずかしさまで倍増してしまう。 大きく息を吸い込み、生唾をひとのみ、ハートの端をつまむと、一口。 「…うめー」 「ホントに…?」 「甘くて、すんげえ、うまい」 「ふふー、なんか当たり前の事言ってますよ?」 「うまい…」 見れば、子供のように自分のチョコを頬張るその姿にドキドキしてしまう。 そのまま、自分の鞄に少し目線をやると、不意に――― 「…でも、これだけか?」 「へ?」 思いもしなかったニュアンスの問い掛け。 8割ほどハートを食べ尽くし、残りのカケラを口にしまいながら、コジローは続ける。 「…その、さ。がっついてるって思うかも知れないけど… 出来れば去年の分も、貰えたらなあって」 「そんなの…」 「俺、食べてないし」 「………ウン」 どうしようもないほど隠し切れない喜色と共に、鞄の中から取り出した、包みがふたつ。 去年の分と、一昨年の分。改めて作り直しておいてはみたものの、いざ渡せるかは―――曖昧だった。 (なんだか、押し付けがましいし…) あの半年の間で成長した物と、失った物。 キリノは落ち着きを得た代わりに、強引さを失ったとも言える。 それがこの関係の、とりあえずの決着をさえこうまで長引かせた要因でもあったのだが……閑話休題。 とにかくそう思い、鞄から取り出したものの、未だおずおずと渡せずにいる二つの包みをコジローはひょい、と取り上げると。 「…くれるんだろ?」 「あっ、でも…」 「お前がくれる物を、俺が拒む訳、ないだろ」 「………!!」 (―――言葉に、できない…) 口元を両手で押さえ、一言も発する事の出来ない自分の頭の上に、いつものように優しく置かれる、大きな手。 そのままなでりなでりと掌を動かせるが、そうしながらも少し弱り顔を覗かせるコジロー。 「しかし、困ったなあ」 「なにが…ですか?」 「こんだけのもんに、俺の方から返せる物が…正味、全然思い付かん」 その素直過ぎる感想に、ぷっ、と下から笑いが吹き上げる。 自分は、そんなもの何も期待していなかったのに。 「…じゃあ今度、寿司でもおごって下さいよ」 「あ、ああ。それくらいなら、いくらでも…まわる寿司でよければだけど」 「ふふふ…まわるお寿司屋さんで全然ヘーキですよ、でも…」 「まだ、何かあるのか?」 「もし…もし、良かったら。おととしと、去年の分も…お返し、貰っちゃっていいですか?」 そう言うと、頭を撫でるその手が止まる。 キリノの緊張とその言葉の意図とを身体の強張りから察し、ひとつ大きく息を呑む、と。 「今、か?」 「今、です。うふふ」 そう言うなり、キリノは踵を伸ばし、顔を上に向け、静かに目を閉じる。 それは教師と生徒としてではない、恋人同士として――――記念すべき、ただひとつめの証。 (ちゅぅ。) 今日の”初めて”は、ストロベリーチョコの味。
https://w.atwiki.jp/jleague-football/pages/2613.html
Quirino Birth Date 1985-01-04 (age 36) Birth Place Brazil Height 181 cm Weight 80 kg Position Forward Club Statistics Season Club No. League Game Goal 2009 Consadole Sapporo 19 J2 48 19 2010 Consadole Sapporo 19 J2 17 2 2012 Consadole Sapporo 19 J1 7 0 2012 Shonan Bellmare 9 J2 17 7 2013 Shonan Bellmare 9 J1 13 2 2014 Ventforet Kofu 20 J1 7 0 2015 Shonan Bellmare 9 J1 5 0 2016 Shonan Bellmare 9 J1 5 0 2016 Oita Trinita 17 J3 5 0 2018 Kagoshima United FC 19 J3 26 5 Total J1 37 2 J2 82 28 J3 31 5
https://w.atwiki.jp/bamboo-blade/pages/25.html
走り込みを終えたキリノは武道館へと足を踏み入れる。 一人きりの武道館は広すぎて、とても寂しく物悲しい。 (というか、部長一人の部活動ってどうよ) 剣道着に着替えながら、キリノはふあああーとだらけた溜息をついていた。 そんな時、武道館の中へ人の入ってきた気配がした。 (おお、ようやく来たよあのセンセー!) しかしどうも今日は様子がおかしい。 いつもなら大声で部員の確認をするコジローの声が聞こえてこない。 (外山君か岩佐君かな?でもあの二人がいまさら部活に顔出すなんてありえないし) 不思議に思ったキリノが扉の隙間から覗き込むと、 挙動不審な顧問がポケットに片手を突っ込んだまま人目を忍ぶようにして 荷物入れの棚の前へ移動していた。 とたんにキリノの目にいたずらっ子のような光がピカーンと灯る。 (じゃあ今日最初の練習は、 いかに相手に気付かれず背後から不意打ちをかませられるかにけってーい) にんまりと笑うと、物音を立てずに更衣室から出て ひっそりと気配を殺しながらコジローの背後へ近づいてゆくキリノ。 「まあ、俺も学生のころは興味はあったしそればっかり考えてた時があったけど、 普通こんなもんまで学校に持ってくるか?」 独り言をつぶやくコジローのすぐ後ろで、突然キリノが声をかける。 「こんなもんってどんなもんですか、先生?」 「うわああああああ」 まるで遺体を発見した探偵アニメのヒロインのような声を出すコジロー。 「あはははははは、女の子みたいな声出して凄いびっくりしてる」 コジローの期待以上の反応に、キリノの溜飲も下がる。 「馬鹿、キリノ…いきなり声かけるからだろーが! てかどっから湧いてきた!」 顔を真っ赤にしてうろたえるコジローの反応が面白くて、笑いの止まらないキリノ。 「いや、普通に更衣室に居たんですけど。つーか遅刻してきてなんで切れてるんですか。 小テストの採点、10分ぐらいで終わるんじゃなかったんですか?」 「あっ、しまった」 その言葉を聴いたとたん、キリノの胸に嫌な予感が走る。 「やべぇ、すっかり忘れてた」 そう言うが早いか、回れ右をして武道館から出て行こうとするコジロー。 「って先生、稽古は?」 武道館に入ってから1分とたってないのにもう出て行こうとするコジローはめんどくさそうに答える。 「一人でやっとけっつーの。俺には大事な仕事があるんだよ」 こちとら防具一式身につけてあんた待ってたのに放置ですかい。 軽く殺意を覚えたキリノが後方からコジローの頭へ突きを放とうとした瞬間、 彼女の視界の端に、学校には似つかわしくないピンク色の隠微な玩具が目に入った。 一瞬、彼女の思考は止まった。 「おい、キ…」 そんな彼女の異変に気付き、コジローが何かを言おうとした瞬間、 キリノははっと我に返った。 「あれえぇーどうしてまだいるのなかなー、大事な仕事があるんじゃないんですカー どうせ部活動なんて2の次ですもんねーだ」 と少なからず動揺しているキリノは早口でそうまくし立てると、 わざわざ面をはずしてベーと舌を出して、そのまま面をつけていつものように素振りを始めた。 なんというか、いつもの雰囲気を作りたかった。 なぜかはキリノ自身でもわからなかったが、動揺していることをコジローに悟られたくなかった。 キリノを見て苦笑いすると、コジローはそのまま職員室へと向かっていった。 (…もうそろそろ大丈夫かな…) コジローがいなくなってからたっぷり20回は素振りをして時間を稼いでから、 キリノは素振りを止め荷物入れの棚へ近づく。 いつもコジローが使っている棚の中にある鞄の下から、 さっきキリノが見かけたものがひょっこりと顔を出していた。 (これって…アレだよね…?) キリノに性体験は無い。しかし、それでも眼前にあるソレが 女性を慰める特殊な機械であることは知っていた。 少女漫画やら、電車のつり革広告やら、ネットの怪しげなリンク先やらで、 いくらでも『セックス』なんて言葉を目にするこの時代に、 処女の彼女がソレの存在を知っていてもなんら不思議は無い。 (ただでさえ、ろくに指導もしないくせにこんなものを武道館に持ちこむなんて……) ふつふつと、キリノの中にコジローに対するフラストレーションが溜まってゆく。 そしてそれは、10代の少女の青い好奇心と結びついてありえない行動を彼女に選択させる。 (だったらあたしも、まじめに部活なんかしない……) それは一種の反抗。普段とは逸脱する行為をすることで、 「どうせ一人でも勝手に練習するだろう」 と考えるコジローの思惑を裏切るためのもの。 もちろん、それは部活動に不真面目なコジローには直接ダメージを与えないだろう。 というか自己満足に近い。 だけど、このまま一人真面目に練習をするのは、なんだか間抜けで惨めだ。 そして何より、今キリノの注意と興味はもっぱら目の前の桃色の物体に注がれ、 正直練習に集中できそうに無い。 キリノは目の前のソレを手に取った。 (てか、結構小さいなあ。こんなのがほんとに気持ちいいのかな…?) しかし、彼女が手にとってもソレは微動だにしなかった。 (あれ、おかしいな。確か震えるんじゃなかったけ?) 四苦八苦してソレの色んな部位を押したり引いたり回したりしていたが、 いつまでも動かないソレにキリノはついに諦めて鞄の下へ戻そうとする。 すると鞄の下へソレを押し込もうとした瞬間、 彼女はソレと同色の楕円形の機械を鞄の下に発見する。 (もしかして…リモコン?) 棚の上に震動する方(と思われる物)を置き、鞄の下からその機械を取り出し、 右上の赤いボタンを押した瞬間、突然キリノの眼前にあるソレが ガガガガッとけたたましい音を立てて振動しはじめ、 その振動の力でスライドしてそのまま床へ落下した。 心臓が飛び出すぐらいビックリしているキリノの足元で、 ソレはガガガガガガガガガガガガガガッとまるで道路工事現場のような騒音を撒き散らす。 驚いたキリノはすぐに赤いボタンを押して電源を切り、 直後に呼吸を止めあたりの物音に耳を澄ます。 何も聞こえない。 足音を立てないよう武道館の出口まで移動し、そーっと武道館外の様子を伺う。 茜色に染まったあたりには誰もおらず、 遠くの運動場から野球部員の掛け声がおぼろげに響くのみだった。 武道館の周りに誰もいないことを確認し、胸を撫で下ろすキリノ。 そしてほとんど闇に溶けた館内へ真っ赤な顔で戻る。 (よかった、誰にも聞かれなかった…) ほっとした後棚の前に移動しキリノはあらためて拾ったソレを見つめる。 日が沈んでゆく中ほとんど光源が無く床や壁や扉など武道館内全ての物の輪郭がぼやける中、 目の前にあるピンク色の玩具だけはその派手な色合いで暗闇の中でも視認することが可能だった。 (て言うかあの振動……普通に身体に当ててたらやばかったかも……) よく見ると、リモコンの真ん中に目盛りつきのダイアルがあり、 その目盛りがMAXに合わさっていた。少し躊躇した後、 キリノはその目盛りをMINに合わせ、ソレを手の平へ置いた。 そして深呼吸してから、赤い電源を再度押す。 するとキリノの手の平で、微かな振動が始まる。 (あ、コレぐらいなら全然大丈夫かも……) キリノの手の平の上で震えるソレは振動が弱いせいか、 それとも振動のエネルギーが全て柔らかなキリノの皮膚と肉に吸収されるからか、 さっきのようなやかましい音を立てなかった。 時間が経つと、手の平がすこしづつ振動に慣れてくる。 純粋な好奇心から、より強い刺激を求めキリノはリモコンのダイアルを捻り強くする。 すると、とたんに手の平からブブブブブ…と僅かに低い振動音が漏れ始める。 3分の1ぐらい強くすると、くすぐったさとむず痒さで耐えられなくなってキリノは電源を切った。 まるで何十人もの人に無理矢理身体の一点をくすぐられるような感覚。 (他の場所だと、どうなるんだろう……) もっと敏感な場所なら、どんな風に感じるんだろう。 クラスメイトが持ってきたハイティーン向け少女漫画の主人公のように、 『頭の中が真っ白になる』様な感覚に陥るのだろうか…。 (おへそとか、どうなんだろう……) 少しためらってから、ゆっくりとキリノはソレを袴の中へ入れ、 電源を入れてソレをへそ上5センチの場所へ押し当てる。 (大丈夫…これぐらいなら……) 少しづつソレを皮膚にあてがったまま降下させてゆく。 それと同時に、キリノ腰が少しづつソレから逃れるように後ろに引いてゆく。 (もうちょっとで、おへそだ…) 目をつぶって振動の感触を貪るキリノの耳に、突然コジローの声が響く。 「おーい、キリノーいるのかー?」 (何で…こんなタイミングで?!) キリノはマッハの速さでリモコンの電源を切り、棚の鞄の下へと押し込む。 と同時に下駄箱で靴を脱ぐ音がする。だめだ、急がないと袴の中にあるソレが取り出せない。 焦ったキリノは無理矢理袴を引っ張ってソレを取り出そうとするが、 バランスを崩ししりもちをつくように後ろへ倒れてしまった。 すると、武道館の中の照明が灯る。 「あっ、コジロー先生、なんか早かったね」 急な運動とそれまでの行為の恥ずかしさや背徳感と、 何より振動がもたらした心地よさでキリノの呼吸が乱れている。 「別に早くねーよ。遅れたぐらいだ。それよか灯りもつけず何やってたんだ?」 訝しげな顔で見下ろすコジロー。キリノはあわててめちゃくちゃな言い訳をする。 「いやー、ちょっと運動したら眠くなっちゃって…」 徹夜明けの極限状態でもあるまいし、全身に防具をつけたまま眠る変人なんているわけがない。 嘘をついた後キリノは心の中で下手な嘘をついたことを後悔していた。 「で、防具つけたまま眠ったってわけか?器用なやつだな」 しかし、コジローは納得したように頷いた。 (お互い様だけど、この人あたしのことなんだと思ってるんだろう…) 「まあいいや、とりあえず出るぞ。ほら、部活は終わりだ」 (!このまま帰ろうとして鞄の下を確認されたら…) 「えっ、えーと、その、でも、ほら、サヤ待ってるから。 あとで鍵掛けるから、もう先生だけ帰っていいよ」 またまたとっさに嘘をつく。 「へーえ、サヤがくるのか。そりゃ久しぶりなあ、おい。 …でも、今日の昼あいつに会って部活来いって言ったら、 逃げるようにしてどっかいっちまったけど、何でいきなり部活に顔出す気になったんだ?」 不思議そうな顔をするコジローに、必死でキリノは嘘を取り繕おうとする。 「え?エーとその、あの、なんか忘れ物更衣室にしたから取りにいくって言ってたよ。 えと、大事そうなものみたいだから。でもやっぱ、今日来ないかもね、 私の聞き間違いだったかも」 そこでコジローは何かを思い出したかのようにぴくっと身体を動かす。 そして、そのまま身体を棚のほうへ向けてしまった。 キリノの顔が青ざめる。 「ああ、そうか、そうだなうん、じゃあ鍵は…」 そこまで言うと、鞄の下をまさぐっていたコジローの言葉がとまる。 そこにあるべきはずのものが無いことに気付いたのだ。 (どうしよう、どうしよう、どうしよう) パニックを起こすキリノ。 「おい、キリノ、俺がいないうちに男子来なかったか?茶髪でピアスのやつ」 キリノは気づいていないが、コジローも慌てた様子でキリノに問いかける。 「へ?ああ、ええと、その、誰も来てないよ」 慌てて答えたあと、キリノは後悔した。 (誰か来てたみたいって答えればよかった) 参ったなぁ、と呟くコジロー。 (誰も部屋に来ていないって事は、持ち出したのはあたししかいないって事じゃない…) とにかく、今はこの場所を離れよう。 更衣室までいって、この袴の中にある物を取り出そう。 そして、隙を見て鞄の下へ戻すんだ。 そう決心して立ち上がろうとした瞬間、キリノの下半身に衝撃が走る。 「あっ」 思わずキリノの口から小さな喘ぎ声が漏れる。 その声に反応しキリノのほうへ振り向くコジロー。 (そんな…なんで?) しかし、今のキリノはコジローどころではなかった。 (なんで…そんな所に?) キリノが自らの袴からソレを引っ張り出そうとして尻餅をついた瞬間、 偶然にもソレは下着と彼女のお腹の間に挟まってしまったのだ。 (何で…いきなり振動するの?) そしてその物体は、悪魔のような蠢動を開始した。 キリノの顔が、快楽にゆがむ。しかし幸いなことに面をしていたので、 コジローに表情を読み取られる事はない。 ブブブブブブブブブブブッという低い音が自らの下半身から立ち上がり 面の中で反響するのを聞き、キリノは理解した。 (先生は……音で探そうとしている) このままだと、振動の音を聞き取られてしまう。 そう思ったキリノは、音が漏れないようぎゅっと両手を握り締める。 しかしここでさらに状態を悪化する事が起きる。 音が出ないよう押さえつけられる力の加わった振動するソレは、 まるで生き物のようにキリノの肌をなぞりながらスライドしはじめたのだ。 キリノの下着の中へ向かって。 (そんな…そんな……ひああぁぁ) ソレはまるでそこで留まるのが当たり前のように、キリノの性器の上でスライドを止める。 必死に唇をかんで、割れ目への振動による刺激から耐えるキリノ。 しかしその刺激は、処女にはあまりにもきつすぎる。 もはや座る事さえままならず、キリノはごろんと横になる。 「どうしたんだ、キリノ?」 キリノの異状の原因に気づかず驚くコジロー。 そんなコジローを恨めしく思いながらも、必死にキリノは言い訳を考える。 「そ、…その、なんか、すごく今日は眠くて…」 「だったらお前、せめて着替えてこいよ。てかここで寝んな」 そういってキリノを立たせようと腕をつかむコジロー。 意識が流されないよう自らの股間へすべての注意力を注いでいたキリノは、 不意に腕に走った圧迫感と腕を引っ張られることによって起こった わずかな股間内の刺激から許容量以上の悦楽を感じてしまった。 「ひゃぁっ」 と甲高い声をあげ、キリノの身体が一瞬硬直する。 「どうしたんだ?体の具合でもわりいのか?」 驚いて手を引っ込めるコジロー。 「別に…そんあことは…ただ、もう動きたくないんっ、です… それに、先生、言ってたじゃないですか…よく食べて、よく運動して、 よく寝るのが体作りの基本だって…だから、少し眠らせて…」 そう何とか言葉をつむぐと、硬直していた身体中の力が抜け動けなくなるキリノ。 (いま、まるで……身体が……目の前が……) 初めての絶頂に震え、放心するキリノ。 しかし、イったばかりの彼女のひくつく性器を、止まることのない蠢動が襲い続ける。 その絶え間ない振動は、傷口に塩を塗りたくる行為にも似ていた。 (今…キタばかりなのに…びくびくしてるのにっ…) 「ぁあ……」 だめだ。もう堪えれない。嫌でも声が出る。 面を取り、片手で口を、片手で下半身を押さえつけるキリノ。 (これで…なんとか…声も……音も……でない…) しかし、そう安心したのも束の間、急に下半身を苛む振動が強まる。 見つからない探し物に業を煮やしたコジローがソレの振動をさらに激しくしたのだ。 「ふぅぅ…」 苦しげな、切なげな声がまたキリノの口から漏れた。 そしてその声はついにコジローの耳へと届いてしまった。 「おい、どうしたんだよキリノ?様子が変だぞ!」 面を取って表情が見えるようになったため、肉体の異常にも気づいてしまった。 「大丈夫だからっ、ほっとい…て…」 それだけ言うと、また口に手を当て、顔を背けるキリノ。 しかし汗まみれの真っ赤な顔ではぁはぁと荒い息を吐くキリノは、 どう見ても大丈夫には見えなかった。 (だめえ…もう……たえらえ……ない……) さっき振動をあげられてから、もう2回キリノはイっていた。 (お願い……とめて……とめて……とめて……) しかしそれは声に出せない。止めてと哀願すれば、 自分がソレをしまいこんだ事を白状してしまう事になるのだから。 (助けて……先生……助けて……) すがるような目で見上げたキリノは、コジローと視線が合った。 その瞬間、キリノの血が凍る。 そのとき教え子を見下ろすコジローの目は、獲物を前にした肉食獣の目だった。 「なあ、キリノ。お前さあ、俺の物勝手に取ってねーか」 「なっ、なんっの、ことですかっそんあ人の物なんか、かってにとるわけなっ」 もはやまともな文章にすらなっていないが、それでもキリノは答える。 自分の中にある矜持を守るために、平静を演じようとする。 もうほとんど意味がないと自覚しながら。 そんなキリノを襲う振動は、さらに激しさを増す。 「あぁ、ひぃあ、ああ、だめっ」 もはや、口を押さえる手が意味を成していない。 腰を押さえる手も同様で、そこからは低い重低音がうなりをあげている。 そしてそこから発せられるエネルギーのせいで、 キリノの全身がまるで若葉を食む青虫のように怪しくくねる。 「なんかなぁ。音がするなぁ。…どっから聞こえてくるんだろう」 快楽に狂うキリノにも聞こえるようはっきりとした声量で呟くと、 コジローはキリノのほうへ一歩近づく。 (いや…気づかれる……きづかれちゃうっ……) キリノは必死になって自らの股間を両手でおさえつける。 キリノの手と柔肉に挟まれて振動は空気を震わせる事ができなくなり音は小さくなる。 しかし抑えられた音になるべき振動エネルギーはその分だけ キリノの肉芽と肉穴を震わせ波立たせ、キリノの体と心を狂わせる。 「ああっいぃゃ、いやっいあぁぁっ」 何度目か分からなくなったイく感覚に、キリノは悲鳴のような嬌声を上げる。 とたんに自らの股間に押し付ける両腕の力が弱まる。 すると挟み込む力が弱まり、それだけ肉へと埋まっていた 玩具がまた空気に触れるようになり振動音が大きくなる。 「…また、音がし始めたな。そっちからか?」 また、わざと聞こえる声量で呟き、キリノの方へ近づくコジロー。 ゆっくりと近づくコジローと目が合ったとき、込みあがる恐怖におののきキリノは叫んだ。 「ひぃっあぁぁっ」 (いやぁ、食べられる、たべられちゃうっ) その目を見たとたん、キリノはまた自らの股間を強く押しつけて音を消す。 その瞬間を逃さず、コジローはリモコンの目盛りをMAXまであげた。 肉にもっとも深く埋まった瞬間に起こった最大の振動に、限界が訪れた。 「ああああぁぁぁぁっ、ひやぁああああぁぁぁぁぁっ」 キリノの中をつま先から頭まで痺れる様な感覚が貫き、背をそらして絶叫をあげる。 甲高い叫びが終わると、まるで何かが抜け出したようにキリノの体の力が抜ける。 そして、そのまま肩で息をしながらぐったりと動かなくなった。 そんなキリノを見下ろしながら、コジローはゆっくりとリモコンの電源を切った。 そして次の日になった。 「ほらー先生ー早く早く!ちゃッちゃと稽古つけて下さいよー」 次の日、いつもの様に武道館で練習をしていたキリノの前に、 昨日の獣のような目が嘘のようにいつもどおりのゆるーい目をしたコジローが現れた。 しかし、キリノは感じていた。 コジローの自分を見つめる視線に昨日までは無かった何かしらの恐怖と後悔と、 そして獣性のようなものが含まれていることに。 昨晩、快楽に震えるキリノが我に帰ったときすでにコジローはその場にいなかった。 鞄の下にリモコンを残したまま。 その残されたリモコンで結局5回ほどオナニーをしたキリノは家に帰るのが いつもより2時間も遅れ、家に帰った後しこたま両親に怒られた。 しかしそんな風に怒られている時も、キリノの頭の中には あのコジローの獣の様な視線が焼きつき、ほとんどお説教は頭の中に入らなかった。 「お前さ…警察行こうとかって、痛えぇぇぇーーー」 コジローの後頭部にキリノは竹刀を打ち込む。 「もーちゃんと指導してくださいよー」 「て、馬鹿。お前のせいでもう無理。頭痛い。本と痛い。今日は終了」 (頭が痛い?…ほんとに痛いのは、良心でしょ?) そう心の中で呟きながら、キリノはぶーぶーと文句を垂れる。 しかしコジローは逃げるように身支度を整えて帰ろうとする。 まるでキリノとの接触を怯えるように。 ふぅ、と小さく溜息をついてから突然キリノは派手な音を立てて床に倒れこんだ。 「おい、どうしたんだ?!」 慌てて近寄るコジローを大の字で見上げて、キリノはゆっくりと微笑みかける。 「運動したから一眠りしようかなーと。先生もどうですかー?」 一瞬、不思議な間が武道館を包む。 しかし、キリノは確信する。自分を見下ろすコジローの視線が、 自らの下腹部へと向けられていることを。 「…俺はもう帰らなくッちゃな。…じゃあ」 「探し物」 振り切るように呟いて逃げようとするコジローを引き止めるキリノ。 「あん?」 「…探し物あるんですよね。見つかったんですか?」 「いいや」 ソレはコジローに見つけられるはずがない。 なぜならソレは今もまだ、キリノの下着の中にあるのだから。 「じゃあ、探してください。今すぐに」 コジローも察しているだろう。探し物がどこにあるのか。 「何でそんなことする必要があるんだよ?」 「だって、泥棒扱いしたじゃないですか人のこと。 だから身の潔白を証明するためにも、先生には探す義務があります」 どこにあるか分からないソレを探し出すということは、 リモコンのスイッチを押すということ。昨晩コジローがやったように。 「…じゃあ、お前も探すの手伝えよ」 にっこりと微笑むキリノ。 なぜならコジローの中に葛藤を見たから。 理性と欲望が教師の中で揺れるのを見て取れたから。 罪の意識がコジローの理性を弱らせ、淫らな心が欲望に火を灯らせる。 10近く歳の離れた社会的にも肉体的にも自分より強い青年男性を翻弄しているのは、 自分の言葉、仕草、表情。 そんな風に相手を翻弄できることに、今まで感じたことのない優越感を感じるキリノ。 「言ったでしょ、一眠りするって。その間、探しておいてくださいねー」 言うや否や、キリノはそのまま目を閉じてしまった。 その言葉の言外にある意味はただ一つ。 -私が目をつぶったら、リモコンのスイッチを押してもいいんですよー コジローはしばらく逡巡してから、すごすごと棚の前に行きリモコンを取り出した。 気配だけでそのことを感じ取ったキリノが、満足げに笑いながら呟く。 「警察…?行くわけないじゃないですか」 彼女の手が、そっと下腹部へと添えられる。 コジローの突き刺さるような視線と、コジローを誘導し教師としての道を踏み外させてゆく悦びに、 彼女の膣口に何かがにじんでゆくのが感じられたから。 その感覚はコジローのいなくなった後の5回のオナニーでは、決して得られなかったもの。 「だって昨日…私は寝てただけ。そして、先生は探し物をしていただけ。 いけないことなんて、何一つしてないじゃないですか…」 -だから先生が罪悪感なんて感じる必要はないんですよ- 罪悪感を弱めることで、コジローの理性が揺らぐ。 この言葉が引き金になったのか。コジローはリモコンの電源ボタンに指を添える。 「そしてこれからも…、部活が終わったら私は眠って先生は探し続ける…。 探し物が見つかるまで、永遠に…」 -この学校にいる限り、私と先生の関係はいつまでも終わることなく続いてゆくんです- 淫猥なえさを与えることで、コジローの獣性が解き放たれる。 ふたきりの静かな武道館に、低い振動音と少女の喘ぎ声が響きはじめた。 終わり 作品保管庫へ戻る
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/27235.html
登録日:2014/01/24 Fri 13 47 13 更新日:2024/03/20 Wed 19 16 42 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 BAMBOO_BLADE お茶 イエロー オマケの主役 コジローの嫁 バンブーブレード ヒロイン 剣道 剣道部 副将 千葉紀梨乃 嫁 苦労人 豊口めぐみ 部長 黄 黄色 千葉紀梨乃とは、BAMBOO BLADEのメインキャラクターである。 作中ではキリノと呼ばれる。イメージカラーはイエロー。 【物語の中で】 ●物語開始~練習試合前 唯一真面目に活動している剣道部員として、ヤル気の無い顧問のコジローに火をつけようとする。 そのためコジローがヤル気出した時はかなり嬉しそうにしており、 コジローもその様子を見て実は自分が寿司にありつくためにヤル気出したと言えずちょっと胸を痛めていた。 外山がダンにイジメをしている時は止めようとしたが、力の差からどうしようもなかったところタマの助け舟に救われる。 その後、外山を倒したタマを引きとめることに成功し、剣道部に引き込んだ。 サヤから死ぬ死ぬ詐欺メールが来たときは華麗にスルー。 松戸高との練習試合のオーダーでは部長なのに副将なことにちょっと残念がる。 ●松戸高校との練習試合 安藤優梨と対戦。反則スレスレの汚い手で嫌がらせをしたいだけの安藤に対してもひたすら真っ直ぐに剣道を仕掛け、見事勝利を得る。 この時、コジローのモノローグに返事したり、タマが(恥ずかしくて)小声で応援したのもしっかり聞こえたりと超人的な察しの良さを見せる。 その後は対戦校の顧問・石橋がタマと勝負したいと言い出した時に、松戸の原田に自分と同じ空気(顧問の気まぐれに振り回される)を感じたのか、 お茶を振舞って談笑した。 試合後は松戸高や室江高の面々に実家の総菜屋のコロッケを振舞った。 ●サトリ加入まで 理事長の奥さんの友人であるレイミ母のせいで高校を辞めさせられることになったコジローに、実績を作ることでクビ回避すればいい提案して励ます。 その後、出場した大会で室江高の1年に有望選手、東がいることを知り捜索する。 途中、何か世紀末の住人っぽい女子生徒を東と勘違いし、図書館で騒いで怒られた。 何とか東を発見し、剣道場に連れ込み勝負を挑むも実力差からあっさり返り討ちにあい酸素吸入。 それでも諦めず成明高校との練習試合に何とか東を呼び出し、あの手この手で東にヤル気を出させようとする。 だが、東の成績の悪さを心配するコジローの言葉で東の入部を諦めた…が、それを影から見ていたミヤミヤが東を半ば騙す形で入部させた。 ●インハイ予選 大会直前に母親が徹夜でジョニーズのライブに行って過労で入院。店の手伝いで数日学校を休む。 表面上は平静を装っていたが、コジローやサヤから不安視される。 だが母親の体調に対する緊張感で逆に雑念が減り、普段以上の成績を見せ『トランスキリノ』と呼ばれるほどの集中ぶりを見せた。 その後、東城高との試合では副将戦で快勝。そして足の怪我を無視してで小西を倒そうとするタマを諭す。 代表決定戦でも負傷したタマと腹痛で使い物にならないサトリの代わりに出場するが、 直前に母親の検査結果が問題なかったと弟に伝えられたために集中力が一気に緩み敗北した。 大会後は室江高校剣道部のマスコットをねこ、テーマソングをブレイドブレイバーのOPに決定した。 後日、ユージ以外の部員と共に街に買い物へ。 そこでタマに似た雰囲気をまとう修学旅行生と出会い、後に去年の玉竜旗(現実にある剣道の凄い大会)のビデオで、 その修学旅行生の名前が榊心であることを知る。 ●鎌崎高校編 鎌崎高校との練習試合で、顧問の石橋と勝負する事になったコジローが自分を鍛え直すために川添道場に稽古をしに行くのに、他の部員共々ついて行く。 内村さんにフルボッコにされている最中、カッコ悪い姿を見て欲しくないと目で、しかも面越しに訴えるコジローの考えを理解して、 タマ達に稽古を促すという通じ合いっぷりを披露。 サヤと勝負するが、道場に来る前にサヤがこけて尻を強打していたために楽勝。 その後、内村さんとの稽古で全力を出し疲労困憊でぶっ倒れたコジローを何か暖かい目で見守っていた。 この辺から読者も色々勘付き始める。 稽古後は女子部員たちとタマの家にお泊まり。 鎌崎高校ではやる気ない相手の部員たちに稽古中に話しかけられたりしてちょい戸惑ってたり。 しかし試合では真面目に稽古やってる分だけの体力差が出て勝利。 大将戦で相手の大将・岩堀が何度も負けを認めず食い下がるのを見たり、 石橋がカッコつけて二刀流でコジローに挑んで惨敗するのを見たり。 ●バニ学編 練習試合も終わり道場での稽古の最中、何かいつものコジローと違ってカッコよかったと言うサヤに対し、 「そんなことないよ、コジロー先生は前からああだよ。」 とか何とかのたまいだした。笑顔で、何か頬を赤らめて。 しかも調理実習でオレンジタルトを作ればコジローが脳裏に浮かび、 「後で持ってってやりますか」 とか言い出す。挙句の果てに部のみんなでバニ学(室江校が出演することになった番組)を見れば、 「あーあたしもあんな風にかわいくなりたいよー」 「何言ってんだキリノ! 十分お前もかわいいぞ!」 「本当!? コジロー先生」 「ああ とてもかわいいぞ」 …ここで通りすがりのAさんに何か一言。 Aさん(仮称)「なんかムカつきますね、死ねばいいのに」 その後は視点が室江高校サイドから芸能人たちとエリナ、そしてウラ中心になったのもあってしばらく空気に。 巻末オマケ漫画で室江高校部員達とお茶を飲んで現実逃避していた。 あと後輩であるBAMBOO BLADE Bのタツミと連絡を取り、彼女が室江に進学することをしったり。 最近コジローのことで愚痴を言わなくなったと指摘されたり。 バニ学収録時には全国TVの撮影にビビってテンぱるサヤをなだめたり。 実は山田梅子だったエリナに生まれて初めて同年代の女子に完敗したタマに対して、 教師として何も言葉をかけてやれないことに移動のロケバス内で苦悩するコジローを通路はさんだ隣の席から励ました。 …ちなみにコジローはタマや他の室江高校から離れた場所に座っていた。 だのにわざわざコジローの近くに座っていたって… ●ラスト バニ学主催の妃龍旗に室江高校剣道部として出場。 チームとして2勝1敗の状況で、副将であるキリノに出番は回る。 対するはバニ学チーム副将の沢宮エリナ、剣道小町・山田梅子。 実はコジローがクビを回避が決定したにもかかわらず、 コジロー自身の成長と室江高校剣道部のために今年度で室江高校を去る決意であることを大会前に知っていたキリノ。 「今までのように見ていてください、見守っていてください、あなたがいなくなるその日まで―――」 口には出さなかったものの、心の中でコジローに対してそう思い戦いに挑む。 しかしシリーズ最強の一角であるエリナとの実力差は明白であり、手も足も出ず秒殺されてしまう。 だが圧倒的な実力差にもひるまず懸命にぶつかっていった姿に、 「よくやったキリノ、次に繋がるいい負けっぷりだ。」 と、コジローは声をかけ、何か良い雰囲気の2人でキリノの物語は終わった。 要するに、キリノはコジローの嫁。 あとコミックの巻末オマケ漫画ではほぼ主役。 【人物】 室江高校2年生。 明るく元気であり、常に周囲を思いやる良い子。反面、自分の不安などは表に出さず抱え込もうとする傾向がある。 実家は総菜屋。味は美味しいようであり、松戸高に振舞った時も評判だった。 キリノ自身も倒れた母に代わって晩飯作るなど、料理はできるど思われる。 家族構成は父・母・自分・弟・妹の5人家族。美系揃いであり、サヤは自分の家との格差にショックを受けている。 弟は母親の影響か「目指せジョニーズ」と書かれたシャツを着ている。 サヤとは昔からの親友。 剣道をこよなく愛しており、1年たちが入るまでは実質1人の活動だったにもかかわらず剣道部に真面目に取り組んでいた。 その愛は汗で臭くなった防具の匂いすらウェルカムという女子高生的にアレな領域。 「竹刀」を「竹内」と書くなど酷い誤字をすることもあるが、成績は良いようで学年20位。 私室は1/Nのゆらぎのたぬたんをはじめとする動物のぬいぐるみがいっぱいのファンシーな雰囲気であり、ぬいぐるみの自作もしている。 またおそらく妹が本物のいぬを紛れ込ませることもある様子。 一方でサヤ曰く「和に目がない」であり、日本茶を愛し剣道場にも急須と茶碗に専用の座布団を完備している。 タマの家で親父さんが自家製漬物を出した時も最初は喜んだ。実際食べたら不味かったようだが。 あと、コジローとは言動や思考がシンクロしたりする。 【剣道】 中学からやっていただけあって、全国レベルのタマやサトリには及ばないものの室江高女子の中では3番手の実力。 (まあ残り2人が高校から始めたんだから当たり前だが) 性格同様真っ直ぐな剣道だが、周囲を気にかける性格やら何やらが災いし集中力に欠ける。 試合描写は県予選で目立っていたのもあり、そこそこ優遇。 【アニメ】 CV 豊口めぐみ 大人の事情をくらったサヤや都と比べると原作準拠の部分ではそこまで改変はない。 アニオリ部分ではタマが鈴木に負けた後、急にヤル気無くしたコジローに珍しくブチキレた。 外山が起こした暴力事件の責任を取って部活辞めようとしてサヤに押し倒されたり、 代わりに学校を辞めたけど色々あって戻ってこれたコジローにダイブして押し倒したりした。 あとプレゼントしたコジロー人形を大事に持ってくれていたのが嬉しかったり。 とりあえずアニメもキリノはコジローの嫁。 アニメ版の人気投票では何と一位を獲得した。 【『BAMBOO BLADE B』でのキリノ】 母校である飛鈴中の剣道部が舞台なので、キリノと交流のあった世代の口から時々その存在について触れられており、 回想シーンで中学時代のキリノの姿も描かれている(ただし目は描かれていない)。当時はツインテールだった模様。 面倒見のいい性格は当時からだったようで、女子剣道部顧問のお角ちゃんからも頼られており「どっちが先生なんだか」と振り返られていた。 ちなみに誤字癖も当時から。 漫画部の指揮をとるなど、どうやら漫画もできるらしい。 本編でも連絡を取っていることが言われていた部長のタツミとは、コジローがヤル気なかった時代のことも話していた様子。 またバニ学が放送された時にも連絡を取っていた。 タツミからは彼女がトラブルに巻き込まれていたのを助けたのもあって深く尊敬されており、彼女が剣道部に入ったのもキリノに憧れたからである。 【『BAMBOO BLADE C D』でのキリノ】 高校3年生になっての登場。 先輩とは違って3年になっても剣道部は継続し、タツミとサリ(タツミの幼馴染)を迎えた剣道部で相変わらず部長。 B読者から不安視されていたサリとの関係(タツミの世話を焼きたがるサリが、キリノに対し嫉妬するのではという意味で)も特に問題ない様子。 動かしやすいのか、Dではタマちゃんとセットでしょっちゅう出てる。 また夏のインターハイ個人戦にタマちゃんを応援に行った際には、変装してひそかにタマの試合を観戦していたコジローの存在に気がついた。 【余談】 メインキャラの中でも初期の方に決まったキャラであり、原作者の土塚理弘によるキリノのイラストもあるが… どう見てもマテリアル・パズルのリュシカ。 ちなみに松戸との練習試合前には暇を持て余してリュシカのコスプレをして遊んでた。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] アニメでの人気投票じゃ一位だっけか ニ位が某腹黒で三位がタマちゃんってカオスだなー・・・ -- 名無しさん (2014-01-24 14 59 54) 器量良しスタイル良し、人当たりが良く人望あり、(おそらく)料理も出来て針も使え、学力良し運動良し、責任感あって何事にも一直線…。さらっと完璧少女である。コジロー爆発しろ。 -- 名無しさん (2014-01-24 16 05 57) タツミが憧れるのも納得だわ。 -- 名無しさん (2014-01-24 16 20 58) キリノは俺のy・・・コジローの、です・・・ -- 名無しさん (2014-01-24 17 00 27) サヤの嫁(百合派) -- 名無しさん (2014-01-24 22 04 34) 本当の「萌え」というのはキリノみたいなキャラのことを言うんだろうな -- 名無しさん (2014-01-24 22 06 19) 竹刀を竹内と書くのに学力が良い・・・だと -- 名無しさん (2014-01-24 23 15 56) キリノの抱き枕の破壊力はやばいな -- 名無しさん (2014-01-24 23 21 53) 竹 内 き て る よ ! -- 名無しさん (2014-01-24 23 25 56) 今はもうないけど2chのキャラスレでも一人だけずっと長いこと残ってたんだよなぁ。今も人気あるキャラの一人だろうね。 -- 名無しさん (2014-01-24 23 36 22) この娘の何がいいって一生懸命で責任感もあるところだよ。 -- 名無しさん (2014-01-24 23 37 17) 竹内・・・一体何者なんだ・・・ -- 名無しさん (2014-01-25 02 43 56) タマより人気あるのには驚いたな。まぁ俺は最初からキリノ派だったけどさ -- 名無しさん (2014-01-25 12 12 20) 剣道やってるキャラはやはりポニーが様に合うのがよく分かったキャラなのと、茶髪とボサボサのポニーが一気に好きになった。 -- 名無しさん (2014-08-10 13 00 46) 可愛いwww -- 名無しさん (2014-12-17 00 12 05) ↑3 タマが嫌いな人なんていないだろうけれど、なんていうかマスコットに近くて投票行くキャラじゃないように思うな -- 名無しさん (2015-08-22 00 07 23) キリノが一番可愛かった -- 名無しさん (2017-04-06 19 49 35) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/833.html
820 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/10(火) 19 03 42 ID EHAG3HmZ あのチビっこ先生とお茶でも飲みながら、 「いやーのんびりしてますなー」 「そうねえ…」 「あんまり実績残せなかったけど、楽しかったっすよ」 「ごめんねえ、私がもうちょっとちゃんと指導してあげられれば…」 「いやー、あたしらが弱かっただけっすよー」 「千葉さんは、行く高校もう決めたの?」 「んー、室江高校、なんですけど」 「室江高校って、確かあんまり剣道部は強くないわよね?……そんなに剣道好きなのにどうして?」 「いやー、特に理由はないんすけど。へへ」 みたいな会話をしてればいいお。
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/633.html
221 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 22 54 00 ID q5RwqSlp ひさ~しぶりに7.5巻読み返してみたんだけど、土塚インタブーの中にある 「昔から(剣道を)続けているのにも関わらず、伸び悩んでいる選手の葛藤とか……描きたい事はまだまだあります」 って、これ、思いっきりキリノの事なんじゃね?と思ったんだが。(ユージとか、新キャラの事かもしれないけど) キリノには申し訳ないけど、またキリノの鬱ターンがやって来るといいな。 でもってケアするのが最近急にマジメくさったあの人だと尚いいw 225 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 23 15 31 ID Ru9Ai0Ju キリノが心に何かしらの葛藤を抱えるというのは何故こんなにも似合うのだろう… 226 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/07/28(月) 23 40 19 ID A9hA6Wrk 221 岩堀のことじゃないかい? 227 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 00 03 14 ID JrpVldKD あれは「伸び悩んでる」っては、言わない気がするけどな… 228 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 00 04 43 ID EaKIyqsA もし、キリノの事だったとしたら、この後の展開のなかに 「先生があんなにあっという間に強くなっちゃったのに引き換え、あたしは…」 とかあるのだろうか。 229 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/07/29(火) 00 28 53 ID kAGwO6Qr 「まだまだスキだらけだからあたしが勝っちゃいますけどね 来年はサヤの方が全然強いっすよ」 【伏線】 ↓ 村越杯でサヤは引き分けてるのにキリノは負け ↓ タマハウスでは、コジローの分析する限りサヤが五体満足なら接戦? ↓ 「あたしは今キリノと互角くらいかな?」 「ふっふっふ、まだまだだよチミィ」 【焦ってきてる?】 かわゆいのうキリノは。
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/407.html
216 241 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/29(火) 12 27 25 ID hSrsf0cD どうでもいいけど 216みてたらなにやら、 本気でひとひらの現面子と共演させてみたくなってきた… サヤに〆られるチビメガネとか超見たいんだけど 242 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/29(火) 12 37 39 ID SC0OGrJm それはバンブー信者でなおかつひとひら信者の俺が望むところだ キャラの人数が増えすぎて描ききれなくなるのが最大の難点だけどね… 245 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/29(火) 12 53 23 ID hSrsf0cD 242 麦チョコのほっぺをつつくキリノとサヤ たまちゃん部長とお茶を飲みながら与太話をするきりのん 世話焼き、と言う一点で意気投合するサヤとさちえ 何故か響とセットにさせられ何を喋っていいかオロオロするタマちゃん 「お、何これどんぐり?ニャハハ」とかってダンミヤと絡む山口 オリナルと変な具合に意気投合しそうなさとりん 嗚呼、ええなあ…なんて言ってもきっと自分と242さん以外誰も分からない話だw
https://w.atwiki.jp/bamboo-blade/pages/63.html
(やれやれ、東さんとはぐれちゃったかな) 空を仰ぐユージの心中は抜けるような青空とは対照的に灰色だった。 一年生の皆でやって来た海岸で、ユージは一人ため息を吐く。 (なんでこんなことになったかな……) ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ きっかけは昨日の武道館でのキリノの一言だった。 「えー、先輩たち行けなくなっちゃったんですか?」 床掃除を終えたユージ達1年の耳にサヤの残念そうな声が届く。 何事かと武道館の入り口を眺めると、 サヤが携帯電話を片手に項垂れ、傍らでキリノが渋い表情をしているのが見えた。 「……はい……はい……はあ、それなら仕方ないですね~」 携帯電話から顔を離したサヤに、掃除道具を片付けたミヤミヤが語りかける。 「どうされたんですか、部長?」 「うう~、先輩達と海行けなくなっちゃったよ~」 「先輩って……3年の方々ですか?」 「そう。折角海の家の割引券もらったのに~」 「へえ、海の家のクーポンなんてあるんだ」 ユージはサヤが握る青い券をしげしげと眺める。 「タウン情報誌についてたクーポンなんだけど、ちょうど5人分あったからさ。 あたしとキリノ、先輩たち3人でいっちょ気晴らしに、と思ってたのに」 ミヤミヤは頬に人差し指を当て眉を傾ける。 「海って……確か3年の先輩がたって進学するんじゃ」 「まあその、受験勉強の合間にぱ~っと気分転換しようかな、って話だったんだけど…… 先輩たち3人とも模試の点数下がって外出禁止令が出ちゃったみたいで……」 「あーあ、せっかく最後の夏に先輩たちと思い出作りしたかったのに…… どうしよ、この5人分のクーポン券、明日までだよ……」 サヤの5人分という言葉にキリノがぽんと手を叩く。 「よし、じゃあこうしようよ!3年&2年女子が駄目ならスライド式で2年&1年だ!」 「……おお、いいねえいいねえ、ナイスアイデア!3人とも大丈夫?」 サヤが1年女子の顔を見回すと、突然のことに驚きながらも全員首を縦に振った。 「明日は道場がお休みなので大丈夫です」 「私も、1日ぐらいなら遊んでも……実は泳げないんですけど」 「あたしは特に予定はありませんけど……タマちゃんとサトリが行くし、いいかな」 「「よし、じゃあ決まり」」 キリノとサヤがはちきれんばかりの笑顔でハイタッチをした瞬間、 二人の携帯が同時に着信音を鳴らす。 「「嘘」」 メールに目を落とした瞬間二人はがっくりと肩を落とす。 「何かあったんですか?」 「かずひこが熱出したって……明日両親いないし、あたしが面倒見なきゃ……」 「なんかさー、お母さんがジョニーズのシークレットライブの情報掴んだってさ…… こりゃあたしが明日お店に立たなきゃいけないみたいだねぇ……」 「それじゃあ先輩たち、明日は無理なんですか?」 困惑したタマキを見て、2年生の二人は涙目になりながら謝った。 「うう……ごめんなさいねタマちゃん!」 「あーあ、2年1年女子合同海水浴も中止かー。ちょうど券は5人分あるのに……」 しばし黙りこくった後、キリノは突然顔を上げる。 「……そだ、1年全員で行ってくれば?ちょうど5人分だし。ダン君は大丈夫?」 「おお、明日は特に予定はないぞ。俺もミヤミヤといっしょに海行くぞ~」 「まあ、ダン君もいっしょに来てくれるの?」 満面の笑みを浮かべるミヤミヤを見て、サヤは少し口を尖らせる。 「ミヤミヤ……あたしらと行くより露骨に嬉しそうだね……」 「あら先輩、そんなことは……ありますけど」 「やれやれ……。で、ユージ君は明日どう?」 「あ、すいません。明日は俺おじいちゃんの畑を……って先生?」 答えようとしたユージはいきなりコジローに手を掴まれ部員達の輪から引き剥がされる。 「ユージ、明日はお前が東を見張っといてくれないか」 耳元で囁くコジローにユージは怪訝な表情を返した。 「東さんが、どうかしたんですか?」 「よく考えてみろ、海だぞ海。街中で買い物に行くのとは訳が違う」 「もしかして、水の事故……ですか?でも普通の海水浴場なら……」 「東なら足のつく場所でも溺れられるだろう、 段差のない場所で躓けるんだぞ。あいつのドジを甘く見るな」 「まあ、確かに……」 「キリノやミヤミヤがいればある程度は安心できるが、 キリノは行けないみたいだし、ミヤミヤは使い物にならないみたいだし」 コジローの視線をユージが目で追うと、 ミヤミヤとダンは二人だけの世界を作り上げていた。 「ミヤミヤの水着楽しみだなぁ~~……でも少し不安だな…… ミヤミヤ、きれい過ぎて男達が群がっちゃうかも……」 「あら、あたしが軽い男のナンパで心動かされると思ってるの? 大丈夫よ、ダン君以外の男なんて皆ジャガイモみたいなもんだから」 「ミヤミヤ~、お前は最高の彼女だ~」 「ダン君もさいっっこーーの彼氏よ~~~」 「あー、確かにあれは……舞い上がってますね」 けっ、と軽く舌打ちしてからコジローは再度ユージに頼み込む。 「まあそういうわけで、あれだ。お前が最後の砦だから、付いて行ってくれねえかな。 俺も暇なら付いてくんだが、明日は校区の見回り当番だからなぁ」 「コジローせんせ~、何男二人で何こそこそ話し合いしてるんすか~?」 「なんでもねーよ、キリノ」 「ふーん。で、ユージ君は結局どうするの?」 ユージはコジローの視線を感じながら渋々首を縦に振る。 「じゃ、決まりだね!明日はあたしら上級生の分も 1年生で楽しんできなさい!」 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ (で、海に来たのはいいけどさ。早速俺だけ個人行動だし……) ダンとミヤミヤは早速二人でどこかへふけ込み、 砂浜で子供向けヒーローショーが始まった瞬間 タマキは目を輝かせて子供達と一緒にブレイバーの応援を始めた。 (で、一番心配な東さんの姿はどっか行っちゃたし…… あ、東さんいたいた……と、誰だあの人達?) 麦藁帽子をかぶり緑色のセパレーツを着た東は、3人の男達に囲まれていた。 長身でネックレスをつけた男と、スキンヘッドで無精ひげを生やした男と、 サングラスをかけた男と一目でガラが悪いと分かる男たちだった。 (なんか……見覚えあるような) 「よーよー、ねえちゃん一人?」 「俺らと一緒に遊ばない?」 「え、え、その、あの」 3人に囲まれ逃げ場の無いサトリは、 おろおろしながらねっとりした視線に曝された自らの体を浮き輪で隠す。 「いいねいいねぇ、そのほどけそうな紐パン!結構やらしいね」 「こういうまじめそうなお子が結構大胆だったりするんだよね~」 どう見てもサトリが嫌がっているのは明白だ。 そして彼女が強引なナンパを断りきれそうにないのも。 (海にはこういう危険もあり、か……) ユージはサトリの傍らに立つと一際大きな声で話しかける。 「やあサトリ、大丈夫?」 ユージの顔を見るとサトリは主人に頭を撫でられた犬のように顔を綻ばせた。 「え……あ、はい、大丈夫です、ユージ君!」 「おいおい、なんだてめえは。俺達が今話を……」 3人はユージの顔を見て息を呑む。 (おいこいつって……) (レイミに頼まれて以前からんだ……) (た、確か剣道使うんだよな) 「俺の彼女がどうかしたの?」 ビーチパラソルの先端を突きつけられると、3人はひぃと小さく叫んだ。 「な、なんだ彼氏持ちかよ」 「それじゃ用ねえよな、うん」 「べ、別にお前にびびってる訳じゃないんだからね!」 3人は捨て台詞を吐くとあっという間にサトリとユージの側から離れて行く。 「……やれやれ、東さん変な事されなかった?」 「あ、いや、大丈夫です……」 それまで赤面していたサトリの表情はさっと翳り、 しょんぼりとしたまま歩いてく。 「あ、あれ、東さん?ごめん、俺がいきなり下の名前で呼んじゃったから怒った? あいつら追っ払うのに恋人のふりするのが一番かな、って思って」 「もう、いいです。ほんとに大丈夫ですから」 短く呟くと、サトリはポカンとするユージを振り払うように小走りで駆けて行った。 (俺、なんか変なこと言ったかな……) 「あ、東さん待ってよ!」 その時突風が吹きぬけ、サトリの麦藁帽子を宙へとさらう。 しかし持ち主のサトリは麦藁帽子に一瞥もくれず、 ユージが慌てて帽子を拾い上げ辺りを見回した時には、 もうサトリは人ごみに紛れユージは彼女を再度見失ってしまった。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 30分ほど海水浴場を歩き回ったユージは、 人気のない入り江状の砂浜でようやく浮き輪とともに海面に浮かぶサトリを見つけた。 しかしどうにもその様子が怪しい。まるで失くし物を探すように、 胸元まで海水につかりながら辺りの様子をきょろきょろと伺い、 泣きながら海藻を千切っては投げ散らかしている。 「東さん、どうかしたの」 「あ、ユージ君!駄目!来ちゃ駄目!」 あからさまな拒絶にユージはショックを受け、腰まで水につかりながら顔を引きつらせる。 「ごめん……俺、そんなに失礼なこと東さんにしたのかな……」 「え、あ、あの……だって、ユージ君、あたしに壁、作ってるし」 「俺が……東さんに壁?」 「ほら、今も東さんって」 「え……?」 「タマちゃんも……キリノ部長も、サヤ先輩も、宮崎さんも。 先生もダン君も、ユージ君は剣道部の皆を下の名前や愛称で呼んでるのに」 (タマちゃん、キリノ先輩、サヤ先輩、ミヤミヤ、 コジロー先生にダン君……確かに) 「なのに私だけ……私だけ東さんって……」 (ああ、それで……) ユージは先ほどサトリを名前で呼んだ後苗字で話しかけた時、 サトリが落胆したのを理解した。 「ごめん、俺そんなつもりじゃ……」 「だから私は、ガブっ」 高い波がサトリの口に入ったのを見てユージは一歩近寄る。 「と、とにかくそんな深い所じゃ危ないよ!東さん泳げないんでしょ?」 「き、来ちゃ駄目ですっ!絶対、絶対来ちゃ駄目っ」 必死に叫ぶ東を見てさすがにユージも彼女の様子が少しおかしいことに気づく。 どうもただ名前を呼ばれなかったことに疎外感を覚えただけではないようだ。 「どうしたの、なんか様子が変だよ?」 数刻の間を置いて、サトリはポツリと呟いた。 「流されちゃった……」 「流されたって、何を?」 (メガネ?いや、水着に着替えた時からつけていなかったし。 麦藁帽子はさっき俺が海の家のロッカーに入れてきたし……) さらに長い沈黙の後、サトリは泣きそうな顔になりながら答える。 「水着……硬く縛ってたのに……」 ユージは首をかしげる。なぜなら彼にはサトリの胸部を覆う緑の布地が見えていたから。 「え?水着なら着てる……」 そこでユージはようやく気づき目線を下に落とす。 履いてない。 「ほ、ほんとだ……ぶ」 「見ないで下さいっ」 顔にワカメを投げつけられた。 「あっ、あ、あ、ごめん!!」 顔についたぬるぬるのワカメを剥がしながら急いでユージは体を反転させる。 「ユージ君に、ユージ君に……見られ……見られちゃったよ~」 「わわ、東さん、泣かないで!」 いくら周辺に人気がないとはいえ、 200メートルも歩けば1000人近くの人が海水浴を楽しむ大きな砂浜がある。 もしサトリの声に誰かが駆けつけてくれば、 サトリは人としての尊厳を失ってしまうだろう。 すぐ背後に、晴天の下同級生の女の子が下半身を曝け出したままにしている。 そう考えた瞬間、ユージの下半身が膨張し始めた。 (な、何考えてるんだ俺!!) 「と、とにかくさ、見てないから」 「顔、下に、向けてたじゃないですか!」 泣き止まないサトリをユージは必死になだめた。 「だ、大丈夫だよ!屈折とかのせいで、全然分かんなかったし!」 「『ほんとだ』って言ってたじゃないですか!わ~~~~ん」 「……と、とにかく!その、ボトムを探さないと……」 そこまで喋ってユージはこの辺り一帯に緑色の海藻が生い茂っていることに気づいた。 これでは同色の水着は海藻に紛れてなかなか見つからないだろう。 (そっか、さっきワカメを必死に千切っていたのは、水着を探していたからか……) 「じゃあ俺すぐに海の家で新しい水着買ってくる……うわっ」 今まで一番高い……おそらく50cmはある高波に後頭部を襲われ、 ユージは慌てて振り向いた。 「大丈夫東さ……」 そこには信じられない光景が広がっていた。 浮き輪の中心には白い桃……いや、東のお尻が海面に突き出され、 天に向けられた足が空しく海面を叩いている。 そして彼女の上半身は完全に海中につかり、酸素を求め暴れていた。 どうやら最悪の予想が現実となったようだ。 高波にさらわれたサトリは上下逆転したまま、 自らを助けるはずの浮き輪が逆に邪魔となって海面に顔を出すことができない。 「あ、東さんガバゴボっ」 思わずユージが近づくと彼の悔パンを水中の東が掴み、 ユージも上下逆転する。 (こ、こういう時は慌てず海水を飲み込まないようブボッ) ユージの鳩尾を暴れるサトリの肘がめり込む。 ありったけの酸素を放出しながらも、 海中で何回転かしながらユージはサトリの体の天地を元に戻す。 サトリが暴れなくなったのを確認して、ユージは急いで顔を水上に出そうとした。 サトリの体に密着したままだったり、何か輪のような物をくぐった気がしたが 肘打ちを食らい酸素を失っていたユージは細かいことを気にしている余裕はなかった。 「ぷはっ」 肺に大量の酸素を送り込んだ瞬間、 ユージは5センチ先にある東の瞳と目を合わせる。 「なっ」 二人とも一瞬虚を突かれた様に固まった。 「あ、ご、ごめん!」 東は今まだ何も下半身に身に着けていない。 その事実を思い出したユージは振り向き距離をとろうとする、 が。 「あ、あれっ!?」 足がつかない。海中で暴れもつれ合ううちに少し深いところに流されたのだろうか。 しかし足がついていないのに、ユージはおろか泳げないサトリも水に浮いたままだ。 そして距離をとることも、体の向きを変えることもできない。 何かがユージを……いや、ユージとサトリの体を拘束している。 「え、えええええっ」 ユージとサトリは、二人で浮き輪の中にいた。 (い、一体どんなもつれ方をしたらこんなミラクルな事になるんだ!) その時ユージの頭の中にコジローの言葉が響く。 『東のドジを甘く見るな』 (うう……しかしまさか、ここまでとは!) 「きゃああ、ユ、ユージ君!」 「あ、東さん駄目だよ暴れちゃ!」 なんせ浮き輪は定員オーバーでかなりぎちぎちの状態だ。 もしこんな自由の利かない状態で今度またひっくり返ったら、 今度こそ二人とも上下逆転したまま溺れてしまうかもしれない。 「と、とにかくもっと浅い箇所まで……」 「ひぃあっ」 ユージが立ち泳ぎで移動しようとした瞬間、東の喉からいつもより音程の高い声が上がる。 「あ、東さん!?」 「ユ、ユージ君……水着!」 「うん、確かに水着がないのは大変だけど、このままだと」 「わ、私じゃなくて……ユ、ユージ君の……」 「へ、俺の水着?…………!?…………!!!!」 ユージはペニスの先端に、ぬるっとした人肌に温かい感触を覚え戦慄した。 どう考えてもそれはユージの股間を覆っているはずの悔パンではない。 (俺の水着……膝までずり下がってる!) さっきサトリに掴まれ暴れられたとき、膝まで下ろされたのだ。 だとしたら、今ユージが感じている感触は。 (えええええ、これって、これって、あ、東さんの……) 意識した瞬間、ユージのそこへ加速的に血が集まり、 斜め下を向いてたそれの先端はぐいぐいと天を向く。 「やっ……う、動いてる……!」 サトリは海中でユージのそれにまたがるような体勢になってしまった。 思わずサトリはユージに寄りかかり、ユージの胸板に柔らかな双丘が押し付けられるから、 ますますユージの分身の硬度が上がる。 「あ、東さん、動いちゃ駄目だって!」 「わ、私は別に……だけど、波が、波のせいでっ……」 波が通り過ぎるたびに浮き輪が上下に揺れ、 浮き輪に拘束されている男女の体も動いてしまう。 そのたびにユージとサトリの接触している粘膜も絶妙な動きで擦れ、 二人の腰に融ける様な痺れる様な甘い感覚が走る。 (駄目だ……こんなの……くそ、でも浮き輪が……外れないと動けない、 そうだ、空気を抜けばその分隙間ができて抜け出せるかも) ユージは手探りで浮き輪の栓を外すが、それでも空気が抜けきるまでは時間がかかる。 (く、空気が抜けきるまでは……た、耐えないと!) ユージの肉棒の返しの部分と、サトリの秘裂の中にある突起が触れた。 「うっ」 「あああっ」 サトリはさらに甘ったるい声を上げユージにしがみつく。 少女の体がぴくりと痙攣し柔らかい太股でユージの肉棒を挟み込むから、 二人の感じる甘い感覚はさらに強く激しくなる。 「あ、東さん……あ、暴れちゃ……」 下腹部の奥底から湧き上がる射精感に耐えていたユージはサトリの顔を見てギョッとする。 サトリはぽろぽろと大粒の涙を流していた。 「こんな、こんなんじゃ……ユージ君に、嫌われちゃうよ…… こんな……こんな状況でエッチな声上げたりなんかしたら…… 軽蔑されちゃうよ…………私はただ……ユージ君と…………剣道したり………… 勉強教えてもらったりして…………仲良くなりたかっだけなのに……」 (ああ、だから東さんは) だからサトリは、ユージに名前で呼んでほしかったのだ。 それを理解した瞬間、ユージの目に映るサトリの顔が変わった気がした。 潤む瞳も、弧を描く眉も、半開きになった口も、 全てがかけがけのないものに変わったように思えて。 (あ、駄目だ、我慢、できな) 次の瞬間また大きな波が二人を揺らし、 カリとクリトリスが大きく擦れ合った。 「うっ」 ユージは短く呻きつつ射精し、 「あっ、ああああっっ」 サトリは高く切ない声を響かせびくびくと痙攣した。 抱き合ったまましばらく無言のままはぁはぁと息を吐いていた二人は、 いきなり同時に海中へ没する。 (あ、ようやく浮き輪の空気が……) 何とか下半身まで届くようになった手でまず海パンをずりあげると、 ユージは東の体を抱え陸へと向かおうとするが、 射精したばかりの疲労と倦怠感が襲い掛かり体は思うように動かない。 (嘘だろ……こんな所で力尽きちゃうなんて……) 絶望しかけた瞬間、ユージは赤いワンピースを着た 小柄な少女の姿を見た。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 帰りの電車の中、室江高剣道部の一年生達は東を除いた4人が横一列に座っていた。 「いやー、タマちゃんのおかげで助かったよ」 「ほんと、タマちゃん偉いぞ~~岩場で見つけたきれいな貝殻上げるよ」 タマキ何も言わず少し頬を染め、ヒーローショーでもらった ブレイバーラムネを飲み干した。 死にそうになっていたユージとサトリはタマキに助けられ、何とか事なきを得た。 おまけにサトリのボトムも助けたタマキの頭に乗っかっていたのだから 色んな意味で恩人である。 4人から少し離れたところで麦藁帽子を目深にかぶったサトリを ミヤミヤは心配そうに見つめる。 「サトリ、あんた本当に大丈夫?助けてもらった後、奇声上げてたらしいけど」 「あ、はい、大丈夫です……」 「そ、ならいいけど」 タマキに助けてもらった後足の着く場所でしばらく呼吸を整えていたサトリは、 命の恩人の頭に自分の水着が引っかかっているのを見た瞬間、 声にならない声を上げてそれをひったくり、水中でそれを装着した。 おかげでなんとかサトリは人としての尊厳を失わずすんだのだ。 ……ユージ以外の人間には。 ユージは席を立ちサトリの傍へ近づく。 近づいてきた人物がユージだとわかると、 サトリは帽子のつばの角度をさらに下げ顔を隠し立ち上がろうとしたが、 その腕をユージに掴まれる。 「ちょっといいかな?」 サトリは何か喋ろうとしたが、すぐに口を閉じ俯く。 「……ねえ、俺とどうしたいの?」 「え?」 「あの時の続き。 言ったよね、もっと俺と剣道したり、 勉強教えてもらったりしたいって。……その後は?」 サトリはしばし考え込む。 「私は……私は、ただ、もうちょっとだけ……仲良くなりたいだけです」 思わずユージは噴き出してしまった。 その笑いを嘲笑と取ったサトリは泣きそうな声を上げる。 「あ、すいません。やっぱり、下着も流されて溺れそうになって おまけにユージ君まで巻き込むような私じゃ……」 「あ、いやいや、その、そういう意味じゃなくて」 「……じゃあ、なんなんです?」 「その、なんていうか……無欲だな、って思ってさ、サトリさんは」 「え……?」 サトリの手から力が抜け、麦藁帽子がずり落ちる。 床に落ちる前にその帽子をユージが掴み、彼女の頭に被せる。 「あのさ……今日のこと引きずって、部活で気まずくなるとか嫌だから。 だからこれからも……俺はサトリさんと仲良くなりたいなって思うんだけど。 ……どうかな?」 しばし放心していたサトリは目じりから一筋の涙を零し、 満面の笑顔で首を縦に振った。 「はいっ……喜んで!」 おまけ 「ミヤミヤ、砂とか入ってないか~~」 「ダン君が優しく、丁寧にしてくれたから大丈夫よ」 (……どこで、何をしたら、どこに砂が入るんだろう) ユージは遠くから聞こえてくるバカップルの会話に心の中で突っ込んだ。 と、二人の会話を遮断するように、 グチュグチュとなにやら液体をかき混ぜるような音があたりに響く。 「タマちゃん?さっきからずっと口ゆすいでるけど、どうかしたの?」 「……すいません宮崎さん、下品ですよね」 「あ、別に責めてるわけじゃないんだけど、なんか渋そうな顔してるし大丈夫かなって」 「あの……今日……」 タマキは何かに気づきハっとしてサトリの様子を伺う。 サトリはユージの方に体重を預け、スースーと安らかな寝息を立てていた。 サトリが寝ているのを見てタマキはホっとした様子で話を続ける。 「あの、今日、東さんを助けた時」 (はは、タマちゃんもドジに悩むサトリさんに気が使えるようになったんだね。 えらいえらい) ユージは心中でタマキを褒めつつ、 ペットボトルの蓋を開けウーロン茶をごくごくと飲み干す。 「なんか変なもの飲んだみたいで……口の中が苦くて粘々するんです」 溺れていたサトリの周りに漂う苦くて粘々した物の正体に気づいた瞬間、 ユージは口内のウーロン茶を盛大に噴き出した。 終わり